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2021年9月6日

【社長の徒然草:5号】日本の秘境に息づく名品『天然きのこ』前編

一足早く秋風が吹き始める東北から、毎年お盆を過ぎたころから、きのこシーズンの幕開けを告げる『今年も○○が採れました』との一報が入ってくる。
中でも青森下北では、弊社パートナーの常田社長のところに沢山の珍しい茸が持ち込まれてくる。山に入る採取者は総勢50人に上る。毎日のように山の奥深くまで入る『きのこ採取名人』のプロから、健康のために趣味を兼ねて山を散策するリタイアされたご夫婦まで様々だ。

今から7~8年前程に産地を訪ねた時にたまたま採れていた『真っ赤な茸』。
「これはタマゴ茸というのだが、地元では色が赤くて誰も食べないんです。
ただ、イタリア料理のシェフが入荷があれば買っていくんです。」そんな一言から早速大阪のホテルの親しいシェフに見て頂くことに・・・。
「柿澤さん、とても美味しいです」
それがヨーロッパでは大変好まれ、日本ではほとんど手に入らないタマゴ茸(フランスではオロンジユ、イタリアではオーボリ)とわかり、早速産地に是非積極的に取りに行って欲しいとお願いした。

 お客様からこのようなものが欲しい、あるいはこれは素晴らしいとの声を聴くと、常田社長の鶴の一声で狙いを定めて採りに出かけてくれるのが素晴らしい。それからは、今まで地元ではほとんど知られていなかったタマゴ茸をわざわざ採りに50人の採取者が必死になって探し始めてくれて、それなりにまとまった量の状態の良いものが沢山送られてくるようになった。東京のきのこ料理で有名なフレンチレストランからミシュラン星付きのお店や高級ホテルのシェフ達、和食のこだわり料理人の方々からも是非入荷したら欲しいと注文が沢山入ってくるようになった。今では、採取者たちが出荷に間に合うように山から夕方駆け戻って、採れたての茸達は、ご注文に応じて丁寧に選別・梱包され、翌日・翌々日には皆様のお手元に最高の鮮度で届く仕組みが出来上がっている。

 茸の季節到来を告げるように、毎年8月中・下旬には、タマゴ茸がまずお目見えする。
この茸は土の中では、白い蚕の繭のような楕円形(まさにこれが名の由来)をしていて、土の中まで掘り返さないと卵の形で採ることはできない。つまり、卵の形で採ろうと思ったら土の上からではどこに埋まっているか判別不可能な実に厄介なものなのである。土の上に出てくるときには、しっかりと傘が開いた『きのこ型』に変わる。卵の形のまま摂取して、時間が経つと厨房でもだんだんと中からきのこが出てくるのが実に面白い。卵の形の物から傘が大きく開いたものまで、テーブルに並べてこの茸の不思議さをお客様に説明されるシェフもいらっしゃる。

 タマゴ茸が収穫できるのは毎年3週間程度。その終盤に入ると、土を掘り返したほぼ同じ場所から、かの『最高級松茸』が採れて来るから、自然は実に面白い。
9月上旬になるといよいよエースの松茸のシーズン到来である。
 青森では、松茸は山で採取したそばから土をしっかり取り払うから色が茶色にならず白いまま採れるものが状態の良いものとされる。『白松茸』と呼ばれるのがその所以である。
今まで京都丹波や長野の茶色の松茸になれた一流料亭の料理人の方々からは、初めは「もっと茶色いのはないか」とのご指摘を頂いたが、今ではその鮮度の良さを評価して『日本一の白松茸』と呼んで頂くようになっている。

 天然松茸、天然舞茸、香茸などは特にその生息場所は限られている。茸のプロと呼ばれる名人でも、車で2時間走って、更に歩いてしか登れない山道を3時間大変な手間暇かけてひたすら自分しか知らない秘密の場所を訪ねて採りに行く。
プロ中のプロが山の奥の秘境の『茸の在処』までたどり着いて初めて採取できる。一般にはまずお目にかかれない『幻の茸』と言われる所以である。

代表取締役社長 柿澤克樹

 

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