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【社長の徒然草:7号】魚の価格
「魚は好きだけど、値が高くて・・・。」という声を消費者の方からよく耳にする。一方「景気が悪いためか魚価が安い。」という声が漁師さんの方から聞こえてくる。中間業者が「搾取」しているかと言えば、市場では店をたたむという所が後を絶たない。一体どうなっているのだろうか?と疑問を持ちたくなる。
魚はもともとは「海の恵み」、原価ゼロのものである。漁師さんが船と道具を使い、人の手を経て市場に入荷する時に値が付けられる。市場での魚の評価は(1)魚種(2)季節(旬)(3)漁法(4)鮮度(5)サイズ(6)取り扱い方(7)産地 で決まるのだ。当然各ポイントで評価の高いものは高値となる。
魚を安くする方法の第一は、従来の旬にこだわらず、多く獲れた時に買うことである。最近、海流や気候の変化の影響で昔の旬と、本当に魚が多く獲れるおいしい季節は少し変わってきている。旬の季節になると、需要だけが増え、価格が二倍以上となることがある。また逆に従来の旬をはずれると良いものが安く買える。例えば、目春は春の旬の魚としてメニューに入れられるが秋にもたくさん獲れ、とても美味しい。
第二は、まだ味が評価されていないため人気はないが、料理法によりとても美味しくなる魚を発掘して使うこと。これだけ魚食文化が進んでも隠れた美味しい魚が地方にあるのだ。第三には、養殖が近年普及し、その品質も向上している。天然に近い高品質な養殖に目を向けること。例えば北海道で獲れる種苗放流(の松皮カレイ)は、見た目は養殖でも中身は天然と何ら変わらない。
更に第四には、川上←→川下をよりダイレクトに結ぶ情報システムと物流システムの確立が必要となる。つまりユーザーにとって必要な魚が必要なときに集まり、供給者はある魚が多く獲れたときにそれがうまく売れるような効率的な流通の仕組みを作ることができれば、良いものの価格はぐっと安くなる。
『IT(情報技術)』『ロジスティクス(物流)』最近よく言われるキーワードは、「魚の世界」でも必要不可欠なのである。
代表取締役 柿澤克樹