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2021年12月7日

【社長の徒然草:8号】世界最高品質の『サーモン』前編~タスマニアサーモン~

 『サーモン』と言えば色も美しくて美味なことから、世界中で愛されている魚の代表格だ。フレンチ、イタリアンではもちろんのこと今やお寿司を始めとした和食の世界でも欠かすことの出来ない女性から特に好まれる人気食材となっている。
 サーモンの寿司ネタとしての歴史は実はまだまだ新しい。元々日本では、鮭鱒は鮭の切身に代表されるように、塩蔵して長期保存が可能な保存食として最適で山間部の方々にとっても貴重な海からのタンパク源となっていた。だから、北海道でルイベや冷凍にして食べられる以外はアニサキスの問題もあり、生で食されることはなかった。
 今から30年以上前に、オーストラリアにお邪魔した時には、タスマニアでサーモン養殖が始まったばかりで、現地のお寿司屋さんに行くとオレンジ色の美しい身をしたサーモンが、漁獲の限られたマグロの代わりに供された。お寿司としては、当時としては違和感があったが、なかなか美味で地元での評判も上々とのことであった。
 弊社が創業当時、オーストラリアが大好きだった私は、世界一のサーモンを目指して開発されたばかりの日本の上場企業が輸入するタスマニアサーモンの一次販売代理店として弊社のみ1年間切らさず供給できる体制を作り、都内を中心にフレンチレストランにご紹介して歩き、弊社が、東京でタスマニアサーモンが世界一との評価を頂けるまでに拡がっていく先駆けとなったのだった。


右下にクローズアップされているのがタスマニア島

タスマニア湾に浮かぶ当時のサーモン養殖生簀

タスマニアサーモン

 30年前当時は、ノルウェーが国を挙げて生産に力を入れていて世界のサーモン生産を牽引し、南米チリ、スコットランドなどが後に続き、日本でも宮城や青森等でも少しずつ養殖生産が始まっていった。中でもタスマニアの当時の旧T社は、綺麗な水質を背景に特別な製造方法を用いながら、当時からどこでも当たり前になっていた抗生物質の投薬を一切使わない安全な育て方であった。更に画期的であったのは、水揚げ後直ぐに海に隣接する工場でエラ腹を抜いて翌々日には飛行機で、東京の弊社まで届くような安全安心な品質で国内品とほとんど変わらない最高の鮮度での流通ができたのだ。
 東京は、もちろん日本全国の有名レストランは、最も美味しいサーモンとして、タスマニアサーモンをメニューにうたうようになっていって頂いたおかげで、旧T社のタスマニアサーモンは名実共に、『世界一』との評価を頂くこととなった。

スモークサーモンの初輸入の際に最初のお客様であったベッカーシェフより頂いたお手紙
ベッカーシェフが総料理長としてロンドンに転勤になった際、ロンドンでも東京でつかっていたタスマニアサーモンを使用したという内容。

タスマニアサーモンメーカーのスプリング社から届いたクリスマスレター

 しかしながら、その栄華は長くは続くことはなかった。世界のサーモンが全て集結し、他にも日本中から多種の豊富な水産物が毎日沢山届く東京市場は、世界のサーモン輸入国の中でも最も競争が激しく、サーモンの価格が安い東京は、消費量は多いがタスマニアから見て価格的にあまり好ましいマーケットではなくなっていった。オーストラリア国内の需要の高まりとともに、日本への年間安定した輸入が難しくなっていった。
 更に、約15年ほど前から現地法人の経営母体も変わり、価格競争の高まりから、折角の抗生物質フリーの大切なコンセプトすらも影を潜めていくことになり、わざわざオーストラリアからサーモンを取り寄せて輸入する魅力が半減していくことになったのであった。

後編へ続く、、、。

代表取締役 柿澤克樹

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