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2021年9月22日

【社長の徒然草:6号】日本の秘境に息づく名品『天然きのこ』後編

 天然松茸は、9月半ばを過ぎたころからいよいよ最盛期を迎え、10月末まで最高の品格と香りを届けてくれる。まさに秋本番の代表的味覚である。

↑松茸

 天然舞茸は9月下旬から10月中旬迄のおよそ3週間程の期間に集中して採れてくる。山に入ると奥の秘密の場所には、小さな舞茸が出ている姿を見るとプロたちは敢えて採らない。最高に良い状態の1~2㎏位まで育つのを数日待つのだ。しかし、他の人に見つかれば、先に採られて元も子もなくなる。まさに我慢のしどころだ。
 天然舞茸は、育ち始めた300g位の株から大きなものは誰の目にも触れずに育った3㎏ものまでサイズは様々だ。年に一度位は、ギネス物の10㎏の天然舞茸が採れることがある。そんな時は、まるで大間の大きな本マグロを釣り上げた漁師さんのように、丁寧に籠に入れて背中に背負って山を下りてくる採取者の興奮は想像に難しくない。
 「松茸より僕は好き」何人かのこだわりのシェフから絶大な人気を誇る香り高き『香茸』は、更に稀少だ。熊が出没するような山の奥深くにしかその姿を見ることはできない。生息域も限られ、摂取時期も短いから、情報が入ったら即購入される方が望ましいまさに幻の茸である。

↑香茸

↑舞茸

 10月の声を聞くと、様々なバラエティーに富んだきのこがお目見えしてくる。
定番のお浸しにしたりして年間食べられる『アミ茸』、『ナラ茸(さもだし)』は、地元では最も人気のある庶民の味だ。
 9月から11月半ばまで最も安定して毎日何キロも採れる畑しめじ。産地では、同じ種類でも、比較的低地で採れるタイプのものを『畑しめじ』、山の上で採れるものを『黒しめじ』と区別している。
 10月には、しめじの代表『本シメジ』、綺麗なオレンジ色をした『ベニウラホテイシメジ』、桜色の可憐な『桜しめじ』、見事な紫色をした『紫しめじ』、年に一、二度しか採れない稀少な『千本しめじ』、天然シメジ類は実にバラエティーに富んでいる。

↑アミ茸

↑ウラベニホテイシメジ

↑さくらしめじ

↑畑しめじ

 

 オリンピックさながら、何ともめでたい金色の『金茸』、名前は銀だが味は金以上と言われる稀少な『銀茸』、更には『黄金茸』、ちょっと驚く方もいるが緑色がトレードマークのプロご用達『初茸』、やや黄色味を帯びた『アイカワ茸』、東洋のポルチーニ『ヤマドリ茸』等、目も舌も楽しませてくれる秋の茸は日本の四季が作り出すまさに 自然の芸術 と呼ばれるかもしれない。

↑金茸

↑黄金茸

 こんな生産者たちも、年々高齢化で採りに行く後継者が育っていないのが実情である。コロナ禍で厨房を預かる皆様の苦労はいかばかりであったかと心から案ずると共に、昨年は天然きのこを十分に弊社で販売できず、産地を十分に支えきれなかった悔しさがある。青森県むつ市では、日本で最も若い首長のお一人宮下市長自ら陣頭指揮に立って、高齢化が進む地方都市の産業再生に取り組んでいる。フランスでも日本の松茸が評判を呼び、高値で取引されていると聞く。是非、稀少な日本の財産をこれからも採り続けていけるように、グローバルフィッシュ社員一丸となって精一杯努力していく所存だ。厨房からも多くの皆様の力強いご支援を日本の遠くで頑張っている産地に届けて頂きたいと切に願うばかりである。

代表取締役 柿澤克樹

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